受動態について(訳編)

こんにちは。英語教室MAGICの綿貫りえ子です。


今回は受動態(中学では”受け身”と呼ぶみたいです)の訳し方について思うことを書いてみます。

「~れる」「~られる」と訳すように教わる受動態ですが、高校生でもその訳がうまくできないことを、かねがね不思議に思っていました。
例えば

”The soccer game will be cancelled.”

を、the soccer game が主語だとわかっていても
「試合をキャンセルする(中止する)」
と訳したりするのです。
主語「試合は」で始めるように言うと
「中止になる」
となり、なかなか受動態らしい
「中止される」には行き着きません。

それで最近分かったことがあります。

日本語で使う受け身の言葉は、主語が人でも物でも圧倒的に被害にあった時に使われるのですね。

人が対象の場合だと、好かれる、愛される、ということもありますが、怒られる、殴られる、嫌われる、殺される、フラれる、注意される、待たされる、笑われる、(ジロジロ)見られる...といくらでも出てきます。

物が対象でも、取られる、盗まれる、壊される、汚染される,等々。

英文和訳ではよく「(私は)~を与えられた」というのが出てきますが、日本語的には不自然で普通は「~を貰った」と言うし、
「~で作らている」は「~で出来ている」、
「~が洗われている」は「洗ってある」、
「~が閉められている」は「閉まってる」と言うのが自然です。

つまりそれは先のブログでご紹介した金谷武洋先生が仰るように、
日本語が「誰がどうしたか」をはっきりさせるより、「そういう状況である」という言い方を好む
からなのではないか、と思います。

英語が受動態の形をとる時は別にネガティブな意味合いの時に限ってないので、生徒はどう訳していいのか分からなくなる。
そもそも普段使うような日本語にするには無理がある。だから変換が出来ない!
...という結論に、個人的な見解ながらたどり着きました。

最後に受動態を使った知っておくと便利な表現を一つ。
Photography is not allowed here.
他の言い方もありますが、「ここでは写真撮影は禁止です(許されていません)」
という意味です。

2022/4/10